特定非営利活動法人 日本家庭医療学会 認定 家庭医療後期研修プログラム

プログラム名称

青函圏・函館家庭医療研修プログラム

プログラム責任者

横倉 基
函館稜北病院 内科医長
住所 〒041-0853 函館市中道2丁目51番1号
電話 0138-54-3113
FAX 0138-32-0106(医局)
E-mail  ikyo-314@donank.jp
連絡担当者 斉藤 美也子 医局事務課長

プログラム概要

プログラムの特徴

このプログラムには、大きく6つの特徴があります。

函館稜北病院と稜北内科小児科クリニックには、Common diseaseの急性期治療を扱う内科・整形外科の混合病棟、急性期からの患者様を受け入れる回復期リハビリ病棟、在宅のみとりまで行う訪問診療があります。専門にとらわれない、幅広い家庭医療研修ができます。

函館では、急性期病院と回復期リハビリとの連携、在宅での医療福祉の連携など、多彩な連携システムができています。こういった連携を通して、地域医療の中での家庭医の役割を自然に学べます。

診療所研修を行う江差診療所は、地域の中核をになう道立江差病院と連携して、慢性疾患医療、訪問診療を担っています。地域住民や自治体も加わった、地域医療再生の大きなとりくみが進んでいます。地域・コミュニティをケアする、僻地での家庭医の役割を学ぶ絶好の研修先です。

函館稜北病院はリハビリ医学会研修施設の認定をうけています。リハビリ医療は、高齢者、障害者を多くかかえる在宅医療では、必須の知識、技術であり、これを学ぶことができます。

小児科やその他の領域は、函館市内、江差町、札幌、弘前など、研修医の希望に応じて、多様な研修先が準備されています。「青函圏」という研修プログラム名は、弘前とも連携しながら、海をこえて、都道府県をこえて家庭医を育てたいという願いをこめて名づけました。

市内の研修先としては、緩和ケア病棟、開業医の在宅支援診療所もあります。在宅医療や緩和ケアについて、さらに深めたいという研修医の希望にもこたえられます。

目的

都市部および僻地での地域診断を行い地域のニーズを知り、地域の医療資源を活用し、行政や住民と連携し地域の医療・保健活動に関与し、地域で継続性のある家庭医療を実践する家庭医を養成します。

目標

以下、7つの目標を設定しています。
地域が必要とする第一次医療を行う能力を身につけ実践すること
患者家族が置かれている社会・経済的背景を考慮して総合的に解決していく能力を身につけること
チーム医療のリーダーとしてスタッフを活かして組織をまとめていく能力を身につけること
継続可能な家庭医療に必要な組織作り、経営管理、スタッフ教育ができること
絶えず家庭医としての能力を高め第一級の知識と技能を獲得するべく、自己研鑽ができること
医療介護福祉にかんする総合的な地域ネットワーク作りの一翼を担うこと
医学生や後期研修医にたいして成人教育理論に基づいた教育を行なうこと

家庭医療専門研修を行う施設

函館稜北病院

認知症のほか、多数の内科や整形外科疾患があり、困難な社会経済背景を抱える患者が入院しています。それらの患者に対しては、入院中から、退院後の在宅生活を見据えた働きかけが必要です。訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問入浴など、その患者の要求や社会経済的な背景、地域の資源などを考慮しながら、チームとして対処してまとめていく能力が身につきます。

稜北クリニック

都市部における一般内科の初期診療に携わります。限られた時間で医療面接を行い、検査計画を立て、臨床推論を展開し、患者との信頼関係を形成して治療にあたります。また、24時間在宅支援診療所の主治医として在宅患者の治療にあたり、看護師や訪問看護師、ケアマネジャーなどとチーム医療を展開します。

江差診療所

医療過疎地域の無床診療所です。診療所を支える多数の町民や患者家族からなる「友の会」組織に支えられた診療所です。地域診断を行い、僻地の医療要求を汲み取り、道立江差病院など現在ある地域の医療資源を活用して江差を含む南檜山地域の医療を実践しています。家庭医にとっては、身につけてきた知識や経験を活かして総合的に実践できるフィールドです。

研修ローテーションの一例です(他にも様々な組み合わせが可能です)

1年次(病棟研修を中心で外来もになう)

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

施設

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

稜北

科目

内科

内科

内科

内科

内科

内科

内科
リハ

内科
リハ

内科
リハ

内科
リハ

内科
リハ

内科
リハ

稜北は稜北病院、クリは稜北内科・小児科クリニック

2年次(小児科と診療所研修に入る)

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

施設

健生

健生

健生

健生

市内

市内

江差

江差

江差

江差

江差

江差

科目

小児

小児

小児

選択

選択

選択

外来

外来

外来

外来

外来

外来

健生は健生病院(弘前市)、江差は道南勤医協江差診療所、市内は函館中央病院

3年次(総合は 2年間の総仕上げで 外来、在宅、入院医療に取り組む)

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

施設

稜北

稜北

稜北

選択

選択

稜北

稜北
リハ

稜北
リハ

稜北
リハ

稜北
リハ

稜北
リハ

稜北
リハ

科目

外来

外来

外来

外来

外来

外来

総合

総合

総合

総合

総合

総合

研修期間

3年間

後期研修医定員

1年あたり   2名

プログラム内容

家庭医療専門研修


研修領域

期 間

研修施設名(病院の場合は診療科名も)

家庭医療専門研修
(連続した6ヶ月以上)

6ヶ

■診療所  □病院
道南勤医協 江差診療所

■診療所  □病院
稜北クリニック

■ 主として家庭医療を実践している医療機関です
■ 外来における患者中心のケアを研修できます
■ 近接的なケアを研修できます
■ 継続的なケアを研修できます
■ 包括的なケアを研修できます
■ 保健や介護関連の活動を研修できます
■ 家族指向,地域指向のケアを研修できます

必修の領域別研修


研修領域

期 間

研修病院名・診療科名

内 科
(連続した6ヶ月以上)

12ヶ

函館稜北病院

勤医協中央病院(総合臨床病棟)

■ 臓器別ではない総合(一般)内科または総合診療科です
■ 入院診療および外来診療を研修できます
■ 家庭医の研修に必要な範囲内で臓器別内科の研修をする場合があります
  その場合の
  診療科名   消化器内科(内視鏡検査の習得、稜北病院) 
  およその期間  3ヶ月


研修領域

期 間

研修病院名・診療科名

小児科
(連続した3ヶ月以上)

3ヶ

函館中央病院 小児科

健生病院(弘前市) 小児科

道立江差病院 小児科

■ 総合的に小児領域の研修ができます
■ 入院診療および外来診療を研修できます

望ましい領域別研修


研修領域

有無,選択・必修の別
および期間

研修施設名・診療科名

一般外科

選択

 1ヶ月

健生病院(弘前市)

勤医協中央病院(札幌市)

産科婦人科

選択

 1ヶ月

健生病院(弘前市)

勤医協札幌病院(札幌市)

精神科/心療内科

選択

 1ヶ月

藤代健生病院(弘前市)

勤医協中央病院(札幌市)

救急医学

選択

 1ヶ月

健生病院(弘前市)

勤医協中央病院(札幌市)

整形外科

選択

 1ヶ月

函館稜北病院

皮膚科

選択

 1ヶ月

勤医協札幌病院(札幌市)

泌尿器科

選択

 1ヶ月

勤医協中央病院(札幌市)

眼科

選択

 1ヶ月

勤医協札幌病院(札幌市)

耳鼻咽喉科

選択

 1ヶ月

勤医協中央病院(札幌市)

放射線科(診断・撮影)

選択

 1ヶ月

勤医協中央病院(札幌市)

その他の選択科
緩和ケア

選択

1〜2ヶ月

函館おしま病院

その他の選択科
リハビリテーション科

選択

ヶ月以上

函館稜北病院

後期研修医の評価方法

形成的評価

・ポートフォリオ評価:
日本家庭医療学会の提示するポートフォリオの項目を基本としてその作成を計画的に行ないます。
そのモニタリングを行います。

・SEA、CbD(Case-based Discussion):
研修委員会メンバーと研修医、指導医を含む上級医の参加で、1回/月の頻度で行ないます。

・360度評価:
1回/6月の頻度で、上級医師以外に他職種や患者様による評価を行ないます。
定まった項目の聞き取りと自由記載により行ないます。

総括的評価

・全職員と友の会(当院を支える自主的な患者組織)を対象にして、3年間の振り返りの研修発表を行ないます。内容はポートフォリオの項目の中から一つを選択、また研修医の自由選択の、合わせて2つを内容とします。

・日本家庭医療学会専門医の受験資格の獲得、専門医の取得

プログラムの質の向上・維持の方法

町立松前病院、健生病院(弘前市)と合同研修会をもちます
北海道勤医協中央病院の後期研修医による定期的な研修会(二木会)に参加します。
札幌医大地域医療総合医学講座が主催するプライマリ・ケアレクチャーシリーズの勉強会に参加します。

指導医の紹介

横倉 基

横倉 基
所属先名称
道南勤労者医療協会 函館稜北病院 内科
略 歴
1993年 神戸大学医学部卒業

1、指導医を担う経緯と情熱

医師人生の3年目からの3年間、医師一人体制の有床診療所を経験しました。地域に必要とされている医療は何か、を常に考える期間でした。室蘭地域の医療状況、自分の能力、診療所の機能などを考えながら、患者対応や診療所の発展の方向を探っていました。わからない事は地域をよく知っている事務長、看護師長から教えてもらいました。このなかで、地域医療に携わりたいと考えるようになり、整形外科から内科へ転科しました。札幌の病院で消化器内科の専門研修を1年半行った後、旭川、苫小牧の中規模病院で、消化器内科と一般内科を担当しました。従来からそうでしたが、函館に来てからは特に、自分が外来、入院、訪問診療で担当する患者は以下のような人だと感じています。
高齢者であり、認知症を含めた多数の内科疾患や整形疾患を抱え、かつ独居だったり、経済的困窮者だったり、社会的問題を数多くかかえる患者が多数います。このなかでリハビリ、在宅、高齢者医療など複合的、総合的な視点は欠かせません。病院内外のMSWやケアマネージャー、訪問看護師、ヘルパーなどとのチームワーク、ネットワーク作りも不可欠です。
ちょうどその頃に、北海道勤医協中央病院総合診療病棟の指導医や家庭医療を志す研修医と話す機会に恵まれました。地域診断、臨床推論、患者面接、教育技法、フィードバック、ポートフォリオなど様々な知識を貪欲に吸収し、日本に新しい医療を開拓しようとする彼らの気概に深く感動しました。医学以外の知識を含めて、複合的、総合的な視点を身につけて、チームのリーダーとしての資質をみがき、自分自身の力量を上げながら、道南地域で生きがいを持って、第一線の医療現場で医師養成に携わりたいと思っています。

2、みずから受けた教育の経験と、これからの教育方針

サラリーマン時代や医師の経験のなかで、具体的にロールモデルと考えた人はいません。しかし  今までの医師経験のなかで印象に残る人達を挙げます。
函館に着任してからは、病院の雰囲気として、医師同士のコミュ二ケーションが上手く取れていると感じています。それは、毎年1回開催される1泊2日の医師合宿(医師が自分の一年間の振り返りと今後の抱負をかたり、あるテーマについて長時間議論します)や、毎週の医局会議の議論の深さにも関係しています。医師同士のコミュ二ケーションを大切にしようという認識が、函館稜北病院にはあります。これは非常に大切なことで、長年これを維持している同僚や先輩医師がいわば私のロールモデルです。
函館市内で開業されている北美原クリニックの岡田晋吾先生がおられます。私が褥創の分野に興味を持ちラップ療法を始めた頃、既に先生は医師やコメディカルによる道南創傷治癒研究会を立ち上げて道南地域での褥創治療の改善、普及させる活動を開始されていました。NST活動や在宅医療についても、私が興味を持って院内で組織を作り活動しようとした時、岡田先生は函館で、関係者が自由に参加して勉強できる組織を立ち上げていました。その先見の明とチーム医療を大切にしようとする考え、また組織の立ち上げと運営をされていることは、すばらしいと思っています。同じ職場で働いて直接に教えていただいたわけではありませんが、岡田先生も私のロールモデルです。
最後に、現場で家庭医を目指す研修医に対して日々指導にあたり、函館稜北病院に来ていただき学習会で直接に話をうかがった北海道家庭医療学センターの草場医師と勤医協中央病院の臺野医師もロールモデルです。経営学や心理学など他の分野の知識を身につけ、教育技法を日々の研修指導に実践して、研修医達と絶えずコミュ二ケーションをとりフィードバックされています。いずれも私にはまだ足りないものであり、これからも学ばせていただきます。


大城 忠

横倉 基
所属先名称
道南勤労者医療協会  江差診療所
略 歴
1978年 北海道大学医学部卒業

家庭医療指導医としての教育方針

これまでの医師人生のなかでも、地域に根付く総合的な医師としての系統的な学習の不足を感じていました。改めて過疎化しつつある町の診療所に勤務してその思いを強くしています。この間、不十分ながら家庭医療を学習し、今の研修医の力量にふれました。彼らの総合的な視点と、短期間に力をつけられる現在の家庭医療研修の進歩には、目からうろこの状態でした。一方、私たちベテラン世代は、宝とも言うべき多くの経験を持っていることも実感しています。これまでの経験を、改めて研修医たちと一緒に学びなおしたいというのが「指導医を担いたい」出発の理由です。この間、学んだ夕張医療センター村上智彦医師、町立松前病院木村医師、町立寿都診療所中川医師、HCFM草場理事長、勤医協中央病院臺野医師、現在の私にとっては出会った皆さんに影響されています。
ヾ擬埣羶瓦箸牢擬圓了廚い筺希望を最も重視する、しかしそれは迎合、妥協ではなく時には厳しく納得するまで話し合う必要があるということです。家族・地域志向とは、常に患者の周りを知る必要があること、時には自宅に行かないと理解できないこともあります。0貶、現場にある矛盾は家庭医療学のなかでかなり整理されており、多くの実践、研究に教訓があります。げ板躇紊鯀觚にして地域の専門医との協力で多くの患者さんの人生の援助が可能です。グ幣紊里茲Δ蔽楼茲北着した家庭医療を実践することで、医師を含めてスタッフが大きな生きがいを持てることを学んでいただきたいと考えています。


佐々木 悟

横倉 基
所属先名称
道南勤労者医療協会 函館稜北病院 内科
略 歴
1982年 旭川医科大学卒業。

1、指導医を担う経緯と情熱

自身のコアな医学技術は呼吸器診療です。地域第一線の現在の病院に着任して以降の13年間は、呼吸器診療のプライマリーケア(呼吸器感染症、肺癌の早期発見、気管支喘息、COPD、じん肺、禁煙外来)を核として、メンタルな問題を含めた総合的な健康管理の力量をつけるために努力してきました。道南地域の高齢化の中で求められる技術は、リハビリから在宅まで総合的な診療であると認識しています。残りの医師として働ける10数年を、総合的な診療技術の向上にむけ自己研鑽し、後進に技術と医師としてのプロフェッショナリティーを伝えたいと思います。現代は医療技術の習得のみでは良質な医療を提供できる時代ではありません。自身は感染対策(ICD)、安全管理(リスクマネージメント技法)、患者とのコミュニケーション技術(メディエーション技法)、診療情報管理士(診療録管理)、医療情報技師(電子カルテ管理)などの分野を当院に着任してから学んできました。これらの技法も含めて、総合的な力量を持ち第一線医療で活躍できる医師養成につとめます。

2、みずから受けた教育の経験と、これからの教育方針

従来のロールモデルは国立がんセンター研修時代の指導医師でした。しかし、函館に着任してからは、地域で総合的に展開している先輩医師の後を追うことが、目標であり、研修指導もその立場で行ってきました。しかし、研修医指導に関しては、我流でした。家庭医療学会、プライマリーケア学会に所属し、各種の講習会、セミナーに参加しました。また、北海道の後期研修プログラム・ニポポのセミナーで教育技法を学び、新しい時代の教育技法に接して、現在は目からウロコ状態です。その中で巡り会うことができた北海道家庭医療学センター草場医師、町立松前病院木村医師、勤医協中央病院の臺野医師の教育手法を学びたいと思っています。


堀口信

横倉 基
所属先名称
道南勤労者医療協会 函館稜北病院 リハビリテーション科
略 歴
1981年 札幌医科大学卒業

1、指導医を担う経緯と情熱

三度にわたる診療所での臨床経験から、年齢とジェンダーをこえて、多様な疾患に対応する家庭医の必要性を痛感しました。家庭医の養成にかかわることで、地域医療の向上に少しでも寄与できればと考えています。わたしが専門とするリハビリ医療は、患者・障害者の社会復帰、生活自立、自己決定権の拡大をめざしています。医師以外に家族、リハビリ医療関係者、福祉介護関係者、行政・教育関係者や地域のインフォーマルな社会資源がからみあって目標が達成されます。リハビリ医療の知識、技術、システムは、家庭医療の中では、とくに高齢者医療や在宅医療の分野で有用と考えます。家庭医がになう在宅分野、高齢者の心身のケアについて、リハビリ科医師の立場からサポートしたいと思います。

2、みずから受けた教育の経験と、これからの教育方針

家庭医療学会指導医WSやHCFM草場理事長による学習講演などにふれる機会をこの間えることができました。そこで学び得た教育理論、手法を生かしていきたいと思います。多くの指導医からの助言、多年の臨床経験から、リハビリテーションの命はチームにあることを学んできました。家庭医療研修の中では、事例を通じて、多職種連携Inter Professional Work(IPW)について研修する機会をつくります。