化学物質過敏症

医師 長谷川 昭一


化学物質過敏症は、いろいろな化学物質に反応して苦しむ「環境病」です。あまりなじみがないと思いますので、まず化学物質問題市民研究会発行の「ピコ通信」から実例を略して紹介したいと思います。

「私は、ネイルスクールで化学物質過敏症になりました。ネイルスクールでは、人口爪を作る際にレジン(アクリル樹脂)を使用しています。(中略)ヤスリのようなもので削るのですが、私はその削り粉末を吸い込んだため、レジンのアレルギーになってしまいました。はじめはレジン使用5~7時間後、鼻水や痰が異常に出て頭痛がありました。約1ヶ月後症状が増悪し、入院になってしまいました。(中略)その後使用を止めても、レジンの匂いを嗅だけで具合が悪くなるようになりました。(中略)今は、タバコ、排気ガス、洗剤、あらゆる金属などに過敏に反応してしまい、頭痛、めまい、吐き気、じんま疹などが続いています(以下略)」
 微量の化学物質に接するだけで、体調異常をきたすというのが特徴です。重症者では、日常生活を営むことが困難となり、転地療養を要することもあります。

増え続ける化学物質

現在、約5万種以上の化学物質が流通し、毎年300程度の新たな化学物質が市場に出回っているといわれています。このうち毒性テスト結果が公開されているのは、わずか25%程度だそうです。安全性の検証は後回しとなっています。発症者数は、最近の研究によると、成人で約70万人と推測されていますが、今後増え続けると思われます。

発症原因

室内空気汚染が5割以上を占めているといわれています。自宅や職場、学校などの建材、塗料などから出るホルムアルデヒドや揮発性有機化合物などが原因となります。室内で使われる家具や殺虫剤なども注意が必要です。その他農薬や殺虫剤によるものが約2割、有機溶剤によるものが1割弱と推定されています。

症状

主症状として、1持続あるいは反復する頭痛、2筋肉痛あるいは筋肉の不快感、3持続する倦怠感、疲労感、4関節痛。副症状としては、1咽頭痛、2微熱、3腹痛、下痢、便秘、4羞明(まぶしさ)、一過性の暗点、5集中力、思考力の低下、健忘、6皮膚のかゆみ、感覚異常、7興奮、精神的な不安定、不眠、8月経過多などの異常。症状は非常に多彩です。

診断

確定診断は、詳細な問診と特殊な検査が必要です。北海道では旭川医大のシックハウス外来が窓口です。

治療

まず原因を排除することが重要です。排除しきれない場合は、できるだけ原因物質の量を少なくします。
人間は1日に約20kg近くの空気を取り込むといわれています。建材が不良の際は、ベイクアウトという方法がとられることがあります。室内でのスプレー剤、芳香剤、消臭剤の使用はできるだけ避けましょう。換気を励行し、特別な空気清浄機が必要になることもあります。
日常生活では、化学物質製品をできるだけ減らすようにします。最近流行りの抗菌グッズにも気をつけましょう。食品添加物や残留農薬のない食品を選びましょう。その他、運動で汗をかいて代謝を高めたり、入浴などの温熱療法も有効といわれています。
 便利さ、快適さを求めるあまり、思わぬ「環境病」にかからないよう注意したいものです。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2008年12月1日

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