改めて生活環境、労働実態から健康管理を考える

医師 内山 清

最近の診察室での会話

○「今日は血圧上がっていますね」『みてくださいよ、今役所に行って5万2千円も払ってきたよ、本当に頭にくるよ』封筒から支払い帳簿らしきものを何冊か広げて見せてくれた。
『介護保険料でしょう、住民税でしょう、国保税でしょう、去年の5倍だよ』「年金暮らしの人から次々とよく取るもんですね、選挙でガツンとやってやりましょうよ」

○『今度から3割負担になるので、今日は出せるだけクスリください』「あれっ、1割でなかったの」『そうよ、今まではそうだったけれど、大変よ、お願いします』「大変ですね、でも健康が一番の元手なので、責任が持てる範囲はこのくらいが限度です。それにしても年取るにつれて医療費が上がるってひどいですね」『年取ったら早く死ねって言うことですね、まったく今の政治は…』

○『今月の定期検査はお金ないので、今度にします』「そうですね、お薬代だけでも大変ですものね、条件できたら言ってください」『からだも心配なので来月受けますね』

○「糖のコントロールなかなか安定しませんね、不規則な食事が問題なんでしょうね、今の仕事まだ続けるのですか」インスリンを打ちながらスナックの仕事を深夜まで続ける中年のお母さん。『病院代くらい稼がないとね』『孫が卒業するまで、倒れていられないし』「お疲れ様ですね、でも元気で暮らすためにも本当は…」

○「しばらくぶりですね、お薬はとっくになくなっているはずですが」『1日1回でのんでいたので、何とか持ったよ。仕事はないし食うのがやっとだ』「大変ですね、具合はどうですか」『ストレスで眠れないのが困る』「不規則労働やストレス・不眠でも血圧、血糖も上がりますものね、でもお薬はちゃんとのんでくださいね」

こんな会話が診察室での日常茶飯事になっています。お年寄りも労働者も主婦も大変です。時に医者として無力感に襲われることもありますが、大変な状況の中でも患者さん方のたくましさ、明るさに逆に励まされ、学ばされることも少なくありません。

  

生活と労働環境の目線で病気の克服を共に考える

  住民・患者さんと医療従事者が一緒に健康を阻害している問題に共に悩みながら、専門家としてお手伝いをしていくのが私どもの目指す民医連医療のあり方です。慢性病の多くは一生のお付き合いになります。『生活習慣』を改善していくためにも、こうした生活背景や労働環境ぬきに考えることはできません。また病院に来たくてもこれない方も増えています。保険証を取り上げられる方もいます。電話かけしたり、時に家庭訪問にも出かけます。相談活動をとりわけ重視しています。気軽にご相談ください。
「安心、安全」の医療・福祉・介護を提供するため、医療従事者も日夜必死にがんばっています。国民の悩みと医療従事者の悩みの根っこは一緒です。とりわけ今の時代、ますます「共同の営み」の大切さを実感しています。

  

重症化しないうちに健康の自己管理を

  病気が重くなると、ご本人、家族のつらさも増しますが、医療費もかさむことになります。軽いうち、症状がないうちに健診を受けたり、治療するのが大事なのはいうまでもありません。一番は予防と悪化防止のため日頃の健康づくりに知恵をしぼることでしょうか。食生活の工夫と運動習慣は欠かせない条件ですが、それどころではない生活実態、労働実態の中でいかに上手に実践するかがカギでしょう。『わかっちゃいるけど…』というのが多くの方の本音でしょうが、健康問題は生きていくうえでの資本です。負けないで健康づくりに汗を流したいものです。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2009年4月1日

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