健康あらかると「求められる看取りのあり方」

函館稜北病院内科医長  横倉 基
 2011年9月17日の土曜日、函館市総合保健センターで、日本死の臨床研究会北海道支部、2011年度秋の研究会が開催されました。その研究会で私はパネリストとして参加しました。その内容をここで紹介します。  緩和ケアの専門家で函館でホスピス病棟を運営され、私がかねがね尊敬している函館おしま病院の福徳雅章先生から、病院以外での看取りを考えるために「求められる看取りのあり方」をテーマに研究会をするのでパネリストで発表してほしいとの依頼をうけました。一般病棟で入院患者を担当し、かつ訪問診療部門の責任者をしている私にとって、「患者さんの亡くなる場所」は非常に重要なテーマでありましたので、すぐにお引き受けしました。研究会では、当院での訪問診療の歴史と在宅で看取った2症例を報告しました。2007年4月、稜北内科・小児科クリニックを在宅支援診療所として申請し、訪問診療を急速に拡大していったこと、外部の訪問看護ステーションやケアマネージャー、施設、医療機関との連携が深まり、顔と顔の見える関係が出来つつあること、担当する患者さんのなかで、少しずつではあるが自宅で亡くなることを選択する方も増え、家族と一体となりサポートすることができてきたこと、在宅での看取りは医療者側にとって心に深く刻まれる貴重な体験になっていること、を報告しました。  数人のパネリストと福徳先生との打ち合わせ、当日の他のパネリストの発表を聞く中で、函館が、日本のグループホーム発祥の地であることを初めて知りました。そのグループホームの開設者の方は、当時勤務していた精神科の病棟における認知症の患者さんへの対応に疑問を抱いたそうです。そこで自ら、認知症の患者さんと一緒に暮らせる生活の場を作ろうと思い立ち、グループホーム建設の行動を起こしました。当時の中央官庁と何回もやり取りをしながら実現に向けて行った気概と行動力に感服しました。私以外のパネリストの方の発表の中で、その方達が勤務している特別養護老人ホーム、グループホーム、介護付有料老人ホームでは、本人やご家族が希望されれば、入居者の方の看取りを積極的に行っておられました。その施設の責任者と職員の方達が一体となり、入居者にとって「仮の住処」ではなく「終の住処」となるように懸命の努力をされていることに非常に感銘を受けました。以前の私は、患者さんが病院で亡くなることにあまり疑問を持ちませんでした。 しかし、在宅医療を知り、本を読み漁り、在宅医療に力を入れている病院、診療所に見学にでかけ、先人達の努力を知り、病院で亡くなる以外の選択肢があるのだということ、それも積極的にそれを選択する患者さんやご家族がいること、しっかりサポートしようとする医療機関や施設が存在することが分かってきました。今回の研究会を通じて、函館の地でも、病院以外の施設での看取りが広がりつつあることを知り非常に感慨深い思いがしました。「人生の最期を、何処でどのように過ごすか。」これは、入院医療や訪問診療の現場では、何時も直面する大きなテーマです。しかし、医療者だけの問題ではないと思います。人それぞれが、避けて通れない問題です。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2011年12月1日

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