健康あらかると「禁煙補助薬チャンピックスの処方制限とこれからの禁煙外来」

函館稜北病院副院長 佐々木 悟

 2006年から医療機関での禁煙治療が健康保険でできるようになりました。当時はニコチンパッチによる禁煙治療が主流でした。2008年から内服薬チャンピックスが健康保険で使用できるようになり、医療機関での禁煙治療に取り組む方が急増しました。

 チャンピックスは、ニコチン切れのつらさを軽減する効果と”たばこ”そのものの煙がいやになると言う作用があり、ニコチンパッチで皮膚がかぶれやすい方にも使えると言うことで、広く使われるようになりました。一昨年のたばこ値上げの際は、品薄となり一時、チャンピックスの処方ができなくなる事態に陥りました。

 チャンピックスの副作用の大部分は吐き気です。12週間の治療期間最初から吐き気止めを使うことで副作用の軽減もできますので、パッチよりも比較的気軽に禁煙に取り組めると言うことで、禁煙外来の処方の大部分がチャンピックスとなっていました。

 その中で昨年10月、チャンピックス内服中の自動車運転禁止の警告が出されました。発売メーカーの説明によると、過去、日本での40万人の処方実績の中で2名、チャンピックス服用中に意識障害を起こし、交通事故を起こしたとのことでの禁止警告がでたとのことです。ごく希な副作用とはいえ、結果が重大です。内服中の運転禁止は、やむを得ないことと思われます。

 当院ではこの警告が出てから禁煙外来の予約時に、治療期間中運転できないことをお知らせしておりますが、禁煙外来を受診される方が、かなり少なくなっています。

 しかし、誤解があります。チャンピックスは禁煙効果が高い薬ですが、ニコチンパッチとの比較では、それぞれの治療期間終了時の成功率は、チャンピックス12週間で60~70%と、ニコチンパッチ8週間で50~60%と開きがありますが、1年後の禁煙継続を調査すると、ともに50%弱と成績は変わりません。

 実際は、使用薬剤よりも治療期間終了後の禁煙継続の方が大切なのです。更に、ニコチン含有量の少ないニコチンパッチは、市販されていますが、市販パッチでの禁煙がうまくいかなくて、病院を訪れ、再度、ニコチンパッチで禁煙に成功している方もいます。医療機関もしくは、薬局のサポートが、禁煙治療で大きな役割を果たすと思っています。

 健康保険では、1年経過後の再治療が認められています。今回を期に、当院の禁煙外来では、ニコチンパッチとチャンピックスの適切な使い分けを提案し、更に、治療終了後の継続のためのカウンセリングに力を入れ、せっかく禁煙に成功した方のサポートに力を入れたいと思っています。

 健康のために禁煙チャレンジとともに車通勤をやめて、ダイエットにもいっしょに取り組んでいる方もいます。

 実は、チャンピックスを開発したアメリカでの禁煙治療の主流は、カウンセリングです。運転するから禁煙をあきらめると言う結論ではなく、まずは、一度、禁煙外来を訪れていただきたいと思っています。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2012年3月1日

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