「一体改革」狙いは消費税増税

 野田内閣は「社会保障・税一体改革大綱」を決定しました。「社会保障・税一体改革」とは、少子高齢化のすすむ中、国民生活の安心を確保するためには、社会保障制度を根本的に改革する必要があるとし、必要な財源を確保するための消費税を含む税制の抜本改革をすすめる内容です。消費税を2014年4月に8%、15年10月までに10%まで引き上げるとしています。消費税が10%になると、平均的な四人家族で年間34万円の負担になる試算も出ています。
 「社会保障の充実のためには、消費税の増税も仕方がない」との声もありますが果たしてそうでしょうか。

社会保障の充実ではなく改悪

 後期高齢者医療制度の保険料が引き上げられます。北海道では年額平均で1,609円上がり、年間保険料は66,589円になります。各自治体では介護保険の第一号被保険者(65歳以上)の保険料も引き上げが検討され、函館市では月額平均で1,070円引き上げられる予定です。
 介護サービスでは、ホームヘルパーが行う生活援助(掃除・洗濯や調理などの日常生活に対する援助)の時間が60分から45分に短縮されました。

次々と制度改悪を準備

<医療>

 平均の入院日数を1割~3割減らし、介護の入所者とあわせ63万人分の削減目標まで提示しています。70歳から74歳までの窓口での2割負担は、13年度の実施を予定されています。

<介護>

 施設の多床室での室料徴収、ケアプラン作成料の有料化、要支援者数を2025年までに3%減らすことが検討されています。
「物価スライド特例分の解消」を行い年金の2.5%削減を検討しています。支給開始年齢を、68~70歳まで引き延ばすことや、年金加入者の減少や平均寿命の延び、経済状況に応じて年金の給付金額を変動させるマクロ経済スライドの適用を広げるなどの検討をしています。

<生活保護>

 「求職支援制度」の訓練を受けない受給者の保護停廃止を検討。生活保護受給者へのジェネリック薬の強要や、医療扶助への窓口の自己負担導入など検討されています。基礎年金(月額最高66,000円)との整合性を理由とした生活保護費の引き下げなども検討されています。

◇      ◇

 さらに、公的責任を放棄し個人契約とし、子育てを企業のもうけの対象にする保育制度の全面的改悪(「子ども・子育て新システム」)や、労働者派遣法の改悪なども検討されています。

消費税の増税目的は大企業減税

 1989年に消費税が導入され1997年に5%に増税されました。一方で、法人税率は1984年には43.3%ありましたが、現在は30%。所得税の最高税率では、1974年の75%が、現在は40%まで引き下げられてきました。
 消費税増税の目的は、「法人税のさらなる引き下げ」と「企業の社会保険料負担の軽減」のための財源をひねり出すことにあります。輸出大企業は輸出品には消費税をかけることはできないため、国内で生産にかかった消費税を全額還付されています。消費税を上げても輸出が続く限り、むしろ還付額は増えるしくみで、輸出大企業にとって消費税増税は痛くも痒くもありません。
 社会保障の主な財源を消費税で賄うことも検討されています。消費税は「低所得者ほど負担率が重い」という性質の税制です。これを主財源に据えるということは「能力に応じて負担し、必要に応じて給付する」という社会保障の原則が破壊されます。また、この「消費税の社会保障目的税化」は、社会保障の改善の名のもとに消費税の引き上げを恒常化するものです。
 ヨーロッパで社会保障がすすんでいるのは、消費税率が高いからではなく、企業が応分の負担をしていることがあげられます。税収を消費税増税に頼らず、法人税や高額所得者の所得税をもとに戻すことが求められています。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2012年4月1日

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