健康あらかると「震災がれきと健康被害について」

函館診療所所長 長谷川 昭一

 現在、北斗市や南桧山で広域処理が検討されています。今回は、震災がれきとその処理により起こる可能性のある健康被害について考えてみたいと思います。

がれきは安全か?

 被災地では、一般の住宅以外の工場も多数津波に巻き込まれたそうです。アスベストや有害な化学物質なども相当量含まれていると思われます。きちんと分別することは困難であり、広域処理はこれらを全国に拡散させることになります。

 また、宮城、岩手のがれきは放射能汚染につき心配ないといわれています。そうでしょうか?厚生労働省や文部科学省の調査結果を見てみましょう。宮城県南部は福島県中通りとほぼ同程度、岩手県も沿岸部はかなり高濃度のセシウム137の沈着が予測されています。

 がれきは1年以上風雨にさらされており、放射性物質は内部にまでしみこんでいると思われます。もちろん、空間線量計で汚染の程度はわかりません。測定に関しては、汚染は均一ではないのでどのくらい密に測ったかが重要です。測定時間も短時間では低い値しか出てきません。

 さらに、測定結果はセシウムだけしか公表されていません。他の、健康被害を出すおそれのあるストロンチウムなどの測定はどうなったのでしょうか?

がれきの焼却で放射性物質は99.9%除去できるか?

 環境省は99.9%除去できるといっていますが、納得できるようなデータにもとづいた説明はなされていません。

 静岡県の島田市でがれきの試験焼却が行われた際の結果を、調べてみました。物質収支から算出されたセシウム137の除去率は53~62%でした。フィルターによるセシウム137の除去率は60%程度ということになります。

 ところで、「週間金曜日」4月20日号に、焼却炉のフィルターを扱う会社13社に対して行なったアンケート結果が出ています。結果は無回答や回答を差し控えさせていただきますというものが大半でした。

 100ベクレル/震災がれきを1万トン受け入れた場合、10億ベクレルもの放射性物質をその地域に持ち込むことになります。専門的知識や設備のない施設での焼却処理は、作業員や住民を被曝させる恐れがあり、たいへん危険です。

 私たちは、がれきではなく、子どもたちを含む住民を受け入れたいと思います。そして安全な食品を被災地に届けていきたいと考えています。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2012年7月1日

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