健康あらかると 心不全について

江差診療所所長 大城 忠

心不全とは

 とてもよく聞く病名ですが、いくつかの病気が重なった結果、心臓から全身に血液を送り出す力が低下した状態・症候群でもあります。急に悪くなり、重篤になり易い急性心不全と、ゆるやかに長期に続く慢性心不全に分けられます。

原因としては

 心筋梗塞で心臓の筋肉が壊死に陥った場合や弁膜症のため血液の流れが悪くなった場合などです。また、普通の高血圧でも長期化し、心臓の筋肉が肥大した場合、不整脈で心臓の動きがばらばらになった場合も心不全を起こすことがあります。また高齢になると検査では一見正常でも心臓の筋肉や弁は硬くなり、機能は落ちてくるものです。
 これらの心臓そのものの病気に加えて、塩分、時には水分の摂取が多い、体に無理をかけた、貧血が進んだ、腎臓の働きが悪いなどは心不全悪化の原因になります。

心不全の症状は?

 症状が進行するに従い、息切れや体重の増加、足にむくみなどが現れます。症状の程度についてはニューヨーク心臓協会(NYHA)の分類があり、理解しやすいようです。

Ⅰ度

 心筋梗塞、弁膜症、高血圧性心肥大など心疾患があるが症状はなく、通常の日常生活は制限されない段階。

Ⅱ度

 日常生活が軽度から中等度に制限されるもの。普通の行動・きつめの行動で疲労・動悸・呼吸困難を生じる程度であり、この段階までなら外来で早期発見早期治療が可能です。

Ⅲ度

 日常生活が高度に制限されるもの。安静時は無症状だが、平地の歩行や洗面、排便など日常生活以下の労作によっても症状が生じる。入院相談です。

Ⅳ度

 軽度の活動でも何らかの症状を生ずる、安静時、寝ている状態でも心不全症状を生ずる重症な段階です。
 心不全は重くなったら誰でも気が付きます。でも高齢者の場合、症状が軽く、緩やかに進行する場合、気がつかないこともあります。時には精神症状の悪化、認知症の悪化だけと感じる場合さえあります。元気がなくなってきた、物忘れがひどくなってきたなどの症状に加えて体重が増えてきた、むくんできたなどの症状がある場合、理由のひとつに心不全も考えてみましょう。

心不全の診断は?

 通常のレントゲン写真、心電図に加えて、心臓の動きがよくわかる心臓のエコー検査、胸部のCT検査、BNPという採血検査なども心不全の判断、経過観察に有効です。慢性心不全の診断は必ずしも簡単ではなく、呼吸器疾患、関節疾患、肥満などでも心不全と迷うことがあり、これらの検査を参考にします。日常生活では日々の体重測定が重要です。

心不全の治療と予防

 重症化すればもちろん酸素、点滴・注射など入院治療が必要ですが、日常的にはなんといっても塩分制限であり、重症になるほどに水分制限、安静が必要になってきます。外来的には徹底した塩分制限が心不全の治療に重要であることを強調したいと思います。入院した経験のある方、入院食の経験のある方は思い出してみてください。一瞬味気ないような、でも素材の良さを生かした薄味の料理です。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2013年2月1日

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