TPP参加は医療を受ける権利を奪う

 広範な国民の反対を無視して、安倍首相は3月15日にTPP(環太平洋連携協定)参加を正式に表明しました。TPPは、従来の貿易協定とは異なり、日本社会に重大な危険や不利益をもたらす協定です。日本をこれまで以上にアメリカの属国化させるもので、アメリカと日本の大企業の利潤追求を目的にしたものです。TPP参加表明に対し、全道、全国で怒りが広がっています。
 あらゆる商品やサービスの取引が対象になるTPPでは、医療も例外ではありません。「国民皆保険制度」の根幹を掘り崩す交渉がおこなわれる危険が次々と浮き彫りになっています。

国民皆保険制度を守ろう

 全ての国民がなんらかの公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」。日本ではこの制度が、半世紀以上にわたって国民のいのちと健康を守る役割を果たしています。「いつでも、どこでも、だれでも必要な医療をうけることができる」という医療の平等の大原則は、戦後日本の長寿社会実現を支えるなど、WHO(世界保健機関)をはじめ世界の医療・保健関係者からも評価されています。厚生労働省のホームページでも「我が国は、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を実現。これを支えてきたのが国民皆保険制度です」と国民皆保険制度の利点を説明しています。

薬代が上がる

 薬価は厚生労働省が公定価格として決めています。また、医療費負担を下げるためにジェネリック医薬品の利用がすすめられてきています。アメリカは、自国の医薬品を高く売るために日本での公定価格を廃止し、薬価を決める過程に製薬会社を参加させるよう主張しています。
 TPPでは「知的財産」分野で特許権が強化され、新薬の臨床検査データが開発した製薬会社に独占されます。他の製薬会社がジェネリック医薬品を開発・生産できなくなり、定着してきたジェネリック医薬品がなくなります。一部製薬会社の高い薬が押しつけられ、患者さんの薬代負担がいっそう重くなります。

営利企業が病院を開設

 米国などTPP参加国では「営利企業の病院経営参入」は当たり前となっています。日本で「営利企業の参入」を厳しく禁止しているのは、医療機関が金もうけ優先に走らず、「安心・安全」の医療を平等に提供する「国民皆保険制度」の理念にもとづいているからです。「営利企業の参入」の解禁は日本の企業も狙っています。「もうけにならない患者」を排除する医療がまかりとおり、「儲からない」と即座に撤退してしまう事態にもなりかねません。

混合診療が拡大

 「知的財産」分野での特許権の強化は、医薬品だけではありません。高度な医療技術や治療法も独占されます。新しい医療技術は、安全性が確立されれば保険が適用されます。医療技術が特許で独占され値段が高くなれば、保険は適用されにくくなります。今は限定された先進医療にだけ認められている「混合診療」の拡大につながります。TPP問題とは別に、政府の規制改革会議は「混合診療」の全面解禁に道を開く議論を始めています。
 「公的保険のきかない医療は、民間保険でカバーします」と、高い民間保険に加入できる人だけが高度な医療を受けられるようになり、医療を受ける権利がお金のあるなしで差別されます。「国民皆保険制度」で保険料は取られた上に、「混合診療」の拡大で、保険で医療を受けられる範囲が、どんどん制限されます。

TPP参加の阻止を

 いまでも、高い保険料・自己負担によって医療にかかれない人たちが増えています。誰もが安心して医療を受けられるために、日本の医療の非営利原則、公益性、そして国民皆保険制度を守るために、友の会懇談会などでTPPの危険な内容を学習し、TPP参加はなんとしても阻止しましょう。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2013年5月1日

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