健康あらかると ピロリ菌の除菌は、胃がんの予防につながります

八雲ユーラップ医院院長 奥山 敬

 ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍の大きな原因とされています。これまでは胃潰瘍などの病気がなければ胃からの除菌には医療保険がききませんでした。ですから胃炎だけでは、除菌をしたいと希望しても、数万円かけて全額自費でするしか方法はなかったのですが、これからは保険が適応されることになりました。もちろんピロリ菌陽性の人がみな胃がんになるわけではありませんし、ピロリ菌が陰性であれば絶対胃がんにならないというわけではありません。でも、胃がんとピロリ菌の関係を研究した結果、ピロリ菌に感染していた人の3%が胃がんになったとの報告もあります。若い人ではピロリ菌の陽性率は低いのですが、その世代で胃がんになった人の90%以上でピロリ菌が陽性であったとの報告もあります。ピロリ菌の除菌が胃がんの予防につながるというのは間違いないと考えられています。

 ピロリ菌は世界中に存在する細菌で、日本人の感染率についてはいくつかの成績がありますが、たとえば60歳代以上で80~90%、50歳代で45%くらい、40歳代で25%くらいと、若くなるに従い感染率は低くなっています。この調子でどんどん感染率が低くなっていけば胃がんにかかる人も次第に減ってはいくと考えられますが、現に今ピロリ菌陽性の人はそれまで待っているわけにはいきません。

 ピロリ菌の感染経路ははっきりしない場合が多いのですが、多くの場合は5歳くらいまでの胃酸を作る能力が十分でない子どものころに、井戸水や便、感染者から直接感染するものと考えられています。ピロリ菌が胃の粘膜に定着すると胃炎を引き起こします。その状態が長く続くことによって一部が胃潰瘍や胃がんに変化すると考えられています。

 「胃カメラのときにピロリ菌がいるかも一緒に見てください」と言われたことがありますが、残念ながら菌そのものが胃カメラでみえるわけではありません。胃の粘膜の一部をとってそれを材料にピロリ菌の有無を検査する方法はありますが、通常は血液検査や、呼気テストという方法で検査します。最近は検診や人間ドックで検査されることも多くなりましたが、外来でも相談していただければ検査することが出来ます。

 ピロリ菌が陽性で除菌を希望すれば、胃カメラを受けていただくことが条件になります。胃カメラでピロリ菌関連性胃炎であるという診断がついてはじめて、潰瘍などがなくても保険を使ってピロリ菌の除菌ができるということになります。

 実際にはピロリ菌が存在するということは、多かれ少なかれピロリ菌関連性胃炎が存在することは間違いないので、実質的にはピロリ菌陽性であれば、全例保険を使っての除菌療法の適応になると考えられます。治療開始前に、症状がなくても胃がんなどが隠れていないかしっかり調べておくということが大事なのだと思います。

 実際の除菌療法では、2種類の抗生物質と、胃酸を抑える薬を1日2回、7日間飲むことになります。薬の副作用はゼロではありませんし、最近は抗生物質の効かない耐性菌が増えてきているという指摘もありますが、次の手、次の次の手も考えられています。

 ピロリ菌の感染検査を受けてください。胃カメラを受けてください。ピロリ菌陽性であれば除菌療法を受けてください。ぜひ外来で御相談下さい。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2013年5月1日

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