健康あらかると 呼吸器リハビリと肺の病気

函館稜北病院副院長 佐々木 悟

 函館稜北病院は、一般病床56床(3階病棟)、回復期リハビリテーション病棟48床(2階病棟)の2つの病棟で運営されています。回復期リハビリ病棟はリハビリの専門病棟ですが、現在はどちらの病棟でも治療の一環としてリハビリに力をいれています。この数年、リハビリスタッフが充実してきましたので、肺の病気で入院されてきた患者さんにも入院当日から呼吸器リハビリを積極的に行うことができるようになりました。

 例えば、肺炎の治療にはリハビリテーションは欠かせません。またリハビリを行うことで肺炎も早期に治癒します。これには、肺という内臓の特徴が関わっています。肺は空気中の酸素を体内に取り込み不要になった二酸化炭素を排出する機能を持っていますが、肺だけではこの機能を果たすことはできません。

 肺自体は、心臓のように自身で膨らんだり、しぼんだりする能力はなく、実際に肺をふくらませたり、縮めたりするのは、肺を取り巻き呼吸に関与する呼吸筋と呼ばれる筋肉の一群です。具体的には横隔膜(名称は膜でも立派な筋肉です)、腹筋、肋間筋、胸筋、肩の筋肉など、肺を取り巻く筋肉のすべてが肺の運動にかかわります。

 これらの呼吸筋と肺を取り巻く肋骨、そして肺が共同して呼吸と言う運動を効率良く行います。

 呼吸にかかわる筋肉を効率よく動かし、傷んだ肺の機能を回復させるには、1日も早い呼吸器リハビリの関与が必要です。

 肺炎の治療を取り上げると、肺炎の発病の原因になった細菌等を同定し、適切な薬剤を投与すること。肺炎によって必要な酸素を取り込むことができなくなった場合に酸素療法を行うこと。痰を出しやすくするために吸入療法を行うこと。

 それと並んで呼吸筋を効率良く動かし、楽に呼吸ができるように援助し、呼吸機能の回復を促進するのが呼吸器リハビリです。

 私自身は、肺炎治療に長く関わっていますが、積極的な呼吸器リハビリの導入によって肺炎からの回復が目の当たりに早くなってきたことを実感しています。

 呼吸器リハビリは、肺炎の治療ばかりに有効な訳ではありません。

 主として、喫煙によって肺が傷んで呼吸機能が低下した慢性肺気腫(近年はCOPDとよばれますが)。原因がまだわかっていない肺自体が硬くなっていく肺線維症とよばれる肺疾患。若い頃に、肺結核にかかり後遺症が残ってしまって酸素が足りなくなった肺結核後遺症。そして、職業として大量の粉じんを吸って肺の機能が廃絶したじん肺。

 いずれの肺の病気でも、呼吸運動を司る呼吸筋の回復をはかる呼吸器リハビリを行うことによって、肺機能を回復することができます。

 私自身は肺の病気を第1の専門領域としています。一方、内科の病気を幅広く診療できるよう日々研鑽を積んでおり、総合診療医(ジェネラリスト)をめざしております。

 しかし、一番の専門領域である呼吸器疾患で、充実したリハビリスタッフに恵まれ、呼吸器リハビリを存分に行うことができる環境で診療できることに喜びをもって毎日の診療を行っております。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2013年6月1日

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