生活を支える医療につなぐ ~「どう生きたい」に寄り添う~

講師 宇都宮 宏子さん
(在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス代表)

 7月13日に、稜北クリニックで「生活を支える医療につなぐ~『どう生きたい』に寄り添う~」の講演会が行われました。市内の病院・介護事業所の退院支援に関わる看護師や介護職員など、93名の参加がありました。要旨を紹介します。

 宇都宮さんは、看護師になったころ父親をがんで亡くしています。がんの告知ができなかったことに対し、「父自身の人生なのに、思い通りの最期を全うできなかったのではないか」と自分へ問いかけ、また、訪問看護をしていた時に、退院して生活の場に戻ることが、時には薬や注射より、生きる意欲を取りもどす力を持っていることを経験したことから、退院支援に関わるようになりました。

退院支援が必要となるのは

 退院支援は、入院前と退院後の生活が大きく変化する場合に必要となります。胃ろうや経管栄養などの医療管理・医療処置等が継続する場合。脳血管障害などで麻痺や運動機能障害などの後遺症のため、食事や排泄、薬や金銭管理など、日常生活を送る上で支障をきたし、自立した生活に戻れない場合。がんや難病のように、進行する症状を抱えながら在宅療養を迎える場合。在宅療養における病状管理が不十分なため、再入院を繰り返すなどの場合です。

「これからどう生きたいか」意思決定の支援を

 自宅で死亡する割合と病院で死亡する割合の年次推移では、1975年(昭和50年)を境に病院で死亡する割合が高くなっています。しかし、がんの末期や脳卒中で障害を抱えたままでの退院、完治せずに退院する患者さんも増えてきています。患者さんや家族が病気を理解し受け止め、病気や老いによる変化、生活のしづらさはありますが、「これからどう生きたいか」を決める、意思決定の支援に退院支援をする看護の見せ所があります。

 「どう生きたいですか」の退院支援のプロセスを踏まずに、退院調整を行っている病院が多くあります。患者さん・家族にとってみれば「なぜ、病院は退院をすすめるのか、まだ治っていないのに」と、病院に対して不信感を抱く結果になっています。

 退院後の生活を支えるために使える公的制度は何か、社会資源として何が使えるか、地域と病院をつなぐ架け橋になることが大切です。地域とのネットワーク構築ができているかがカギになります。家での看取り、自然な死を受け入れることができる家族に育っていく手助けが必要です。

患者さんと家族の話し合い大切

 今回の講演は退院支援に関わっている職員を対象にした内容でしたが、患者本人や家族としても、「老いや病気と向き合って自分はどう生きたいか。どこで人生を終えたいか。普段から家族と話し合っておくことも大切」と呼びかけられました。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2013年9月1日

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