健康あらかると 廃用症候群

函館稜北病院 リハビリ科科長 堀口 信

 「病気やケガの時は安静にして治す」これが常識と思っていませんか?

 安静によって、実は体中の機能が衰えていきます。これを廃用症候群といいます。廃用症候群は、手術や風邪、肺炎、打撲骨折などで数日~数週間、安静にしたあとにおこる運動障害です。たとえば筋力は安静にしていると1週間で10~15%低下します。とくに足の筋力低下が進みます。筋肉が衰えて体重も減ってきます。

 図のように、もともと70歳をこえると、脂肪を除く体重(除脂肪体重)は10~20%くらい落ちています。ですから高齢の方が、安静によってさらに体重がおちると歩けなくなってしまいます。

体重表

 寝た状態でも足を動かし、できるだけ早く座位や立位をとることによって、筋力の低下を防ぐことができます。寝た状態でいると足やお腹、ふだんは心臓より下にあるところの血液が、心臓に戻りやすくなります。

 心臓に戻る血液が増えて心臓の負担が大きくならないよう、寝たままでいると、体全体の血液(循環血漿量)が減ってきます。3週間寝ていると570㏄血液がへると言われており、体重50kgの人であれば総循環血漿量2500㏄の20%が失われることになります。

 この状態で起き上がろうとすると、腹部や足に一気に血液が下がり、脳にいく血液が不足します。長期間寝たままでいると、このように起立性低血圧が起こり、血液量が元に戻るまで回復に時間がかかることになります。

 安静による廃用症候群では、このほかに心肺機能の低下、感染への抵抗力(免疫力)の低下、骨が弱くなる骨そしょう症もおきてきます。

 安静によっておこる廃用症候群を予防するには、早く動き始めるしかありません。医師による安静の指示が解除されたら、体調をみながら、足を動かしたり、起立性低血圧や心臓の症状に注意しながら体を起こしていくのがよいでしょう。

 入院中であれば、リハビリの訓練士や看護師が医師の指示で体を動かしていきます。自宅で安静にする場合は、医師と相談しながら、早めに体を動かしていきましょう。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2013年10月1日

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