健康あらかると 重度骨粗鬆症に対する新しい注射薬について

函館稜北病院院長(整形外科医) 及能 義広

 現在、高齢者の増加に伴い、骨粗鬆症が原因で骨折する患者さんが急激に増えています。特にふつうに立った高さからの転倒のような軽微な外傷でも容易に骨折するケースが多く、手術の際に骨があまりにも脆弱なため、骨折部を固定するスクリュー止めがうまくいかないという事例も増えています。対策として日頃からカルシウムやビタミンDを含む食品を多く摂り、ウォーキング等の運動を継続することが重要ですが、骨粗鬆症の薬を早めに使用することも必要です。

内服薬・注射薬

 動物の骨は吸収と形成を繰り返しており、常に新しい骨に置き換わっていますが、高齢になると骨を吸収するスピードが骨を形成するスピードを大きく上回ってしまい、骨がどんどん脆くなってきます。従来よく使用されてきているのは骨吸収抑制薬であるビスホスホネートという内服薬です(当院ではボナロンまたはアレンドロン酸錠35㎎「トーワ」)。

 ただしこの薬は週1回、起床時(朝食前)にコップ一杯以上の水(180㏄)で薬を飲み、服用後30分は食事を摂らず、横にもなれないことや逆流性食道炎による胸焼けを起しやすいなどの欠点があります。

 この薬が使えないときは女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをする薬であるラノキシフェン(当院ではエビスタ)があります。ただし閉経後の女性しか使用できず、血栓を作りやすいと言われているので寝たきりの方には使えません。さらにカルシウムの吸収を良くする活性型ビタミンD剤を併用して内服することもあります。また従来から腰痛がある方のみに使われているエルシトニンという注射薬もあります。

新しい注射薬

 これらの薬は骨折予防の面で有用性は確かにあるのですが、最近はもっと強力な作用のあるテリパラチドという注射薬が使えるようになりました。これは遺伝子組換えヒト副甲状腺ホルモン製剤で、強力な骨形成促進作用があり、適応は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」となっています。

 前述のビスホスホネートによる背骨の新規骨折抑制率は2~3年内服して約50%ですが、テリパラチドでは骨折抑制率は注射開始後72週で約80%と報告されています。骨折を起した患者さんにもすぐ使用でき、骨折による痛みの改善にも効果があるようで、重症の骨粗鬆症患者さんには今後このテリパラチドが第一選択となっていくと思われます。

 現在のところ飲み薬はなく2種類の注射薬が使用可能です。まず一つ目のタイプはファルテオといって患者さんが自宅で毎日自己注射するタイプのものです。最大使用期間は24カ月となっており、1カ月間使用可能なペンホルダータイプの注射を本人がお腹や太ももに行います。(図参照)ちょうど糖尿病患者さんに対するインスリン注射と同じです。

フォルテオ-自己注射タイプ

 もう一つのタイプはテリボンといって週1回、自己注射でなく医療機関で皮下注射をしてもらいます。最大72週間注射可能です。どちらも使用期間が限られているので、治療終了後はビスホスホネートの内服等の治療を継続することになります。一度骨折したことがあると再度別の部位を骨折する可能性が非常に高くなるといわれており、骨折の危険性の高い患者さんとよく相談して使用していくことになります。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2014年3月1日

▲このページの先頭へ

© 医療法人 道南勤労者医療協会