講演会「いのちと命-ものがたられる人生の最期-」

講師 佐藤 伸彦 氏(ものがたり診療所所長)

 4月19日に稜北クリニックで、佐藤伸彦氏(ものがたり診療所所長)による「いのちと命―ものがたられる人生の最期―」をテーマに講演会が行われました。医療・介護・福祉関係者など、札幌や苫小牧からの参加もあり、131名の参加がありました。講演の一部を紹介します。

 「命」と「いのち」にはそれぞれ意味合いがあります。「命」は生命体としての命、救急救命の対象としての「命」です。「いのち」は生まれてこんな風に生きてきて、そしてこんな風に生きていきたいというような、ものがたられる人生としての「いのち」です。ものがたり診療所では、「いのち」を大切にした医療に取り組んでいます。

 1977年(S52年)を境に在宅死と、病院で死を迎えるケースが逆転します。現在、在宅での看取りは10~15%しかありません。団塊の世代が高齢期を迎え高齢者が増加する社会では、医療機関・介護施設等での看取りができなくなる時を迎えます。「どこで・誰と・どのようにして最期を迎えるのか」を選べる時代にしていきたいと思っています。医療者側が家族に、「在宅でも大丈夫ですよ」という選択肢を出せるようにならないといけません。選択肢がないと選ぶことはできません。在宅という選択肢をできるだけ出していきたいと思っています。100%人は亡くなります。だとするとそこにきちんと目を向けた、真摯に対峙した医療が必要です。「治療法がない、高齢だからしょうがない、やることがない」で、諦めるのではなく、どう生きて、どう生きたいのかに寄り添う医療が必要です。そう言う意味では高齢者の終末期医療は高度な専門医療です。

 「死」を見届けるのではなく、最後の最期まで生き抜く「生」を支えることを大切にしています。病人を診ずして人を診ること、専門性を捨てて1人の人として接することをケアの基本にしています。

感想文から

 「講演を聴き、大きくうなずくことがありました。忘れていましたが、私もこんな仕事がしたくて看護師になったんだと思い出しました。仕事への取り組み方の参考にさせていただきます」「相手を分かろうと努力する。その努力をたゆまずすることが、ケアをする側に求められるのかなと思いました」「単なる理論としての終末期医療ではなく、佐藤先生の経験や患者さんの話を聞くことを通して、改めて人との関係性づくりについて考えさせられました」「医療や介護など、色々と技術的な発展があっても、とにかく重要なのは、やはり心(気持ち)なんだと感じました」などの感想が寄せられていました。

ものがたり診療所

 医療法人ナラティブホーム(富山県砺波市)は3診療所、居宅介護支援センター、訪問看護ステーション、ホームヘルパーステーションを運営されています。ものがたり診療所は強化型在宅支援診療所を届け出ており、年間の死亡診断書の作成は60~80枚になっています。

ナラティブホームのホームページから

 「ナラティブ」とは、英語で「物語」という意味です。高齢の患者さんたちにも、今まで生きてきたその人だけの「物語」があります。患者さん一人ひとりが持つ、かけがえのない「物語」を大切にし、それを中心に医療を組み立てていくのが、私たち「ナラティブホーム」です。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2014年6月1日

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