函館市の「生活保護適正化ホットライン」は直ちに中止を

 函館地方社会保障推進協議会では、6月6日に、函館市に対して、生活保護への誤解、偏見、負のイメージを広め人権侵害を引き起こし、暗い監視社会をもたらす「生活保護適正化ホットライン」を直ちに中止するよう、強く要請しました。函館生活と健康を守る会が、4月30日にも「生活保護適正化ホットライン」の中止の申し入れを行い、ホームページの記載内容の一部訂正はあるものの中止までには至っておらず、改めて中止を求めました。

市民を相互に監視させ密告を奨励するもの

函館生活と健康を守る会 会長 松森 美世子

 函館市のホームページの「生活保護の不正受給対策」の記述は、生活保護制度利用者を犯罪者のようにみなして、「生活保護制度利用者の多くは不正受給を行っている」との誤った意識を市民に植え付けるものです。市民の間に、「あの人は生活保護を受けているのではないか」「不正受給をしているのではないか」との疑心暗鬼を引き起こすものです。この「生活保護適正化ホットライン」は、市民を相互に監視させ、密告を奨励するもので許されません。生活保護が拠って立つ憲法25条、基本的人権の享有を規定した憲法11条、個人の尊重を規定した憲法13条、法の下の平等を規定した憲法14条に違反します。

 生活保護制度を市民に知らせたり、保護が必要な人の情報を寄せてもらうのが市政のあり方だと思います。不正受給を減らすのであれば、「生活保護適正化ホットライン」の設置ではなく、ケースワーカーを増やし、丁寧なケースワークが一番の対策です。

黙っていられない

 安倍政権は昨年8月に生活保護基準の引き下げを強行しました。生活保護基準の引き下げは、安倍政権の社会保障切り捨て計画の第1弾です。今回の基準引き下げは、2015年4月にかけて3段階で引き下げられ、3年間で最大10%にも達し、戦後最大の歴史的大改悪です。子どもが多い世帯ほど削減額が大きくなり、子どもの貧困にも拍車をかけます。生活保護基準の引き下げは、1950年に現行制度が開始されて以来、2003年(0・9%減)と04年(0・2%減)にしか行われていません。最大10%にもおよぶ引き下げは初めてです。

 この引き下げの撤回を求める不服審査請求の取り組みが全国で広がり、昨年10月には1万件を超えました。北海道では1,400件(道南勤医協で関わったのは7件)を超える請求がありましたが、北海道知事から「棄却」の裁決書が届き、再審査請求に取り組み、裁判提訴の準備をすすめています。過去には母子加算が廃止されたときに、当事者が立ち上がり復活させた裁判闘争があります。

 今年の4月からも2回目の引き下げが行われ、5月には全道で1,100件を超す不服審査請求を行っています。

生活保護基準の引き下げ、私たちの生活に直結

 生活保護基準は、福祉や教育制度の利用基準の「目安」になっています。就学援助、個人住民税の非課税限度額、国民年金保険料や介護保険料、保育の免除基準、年金制度や最低賃金など、私たちの生活に関わるものがたくさんあります。

 就学援助は全国で157万人の児童生徒が適用(16%の適用率)になっていますが、生活保護基準に連動して引き下げられると約26万7千人が除外されると試算されています。既に、自治体が行っている高校生の奨学金貸付事業を縮小したり、就学援助の認定基準を引き下げた自治体もあり、2015年度以降に検討する自治体もあります。

 保護基準の引き下げは、保護世帯の暮らしを悪化させるだけでなく、国民全体の暮らしの水準の低下を招くことになります。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2014年7月1日

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