【 道南勤医協Library TOPへ 】
健康あらかると 薬の副作用で起こる!?横紋筋融解症
高脂血症治療薬などを服用している方で「筋肉痛のような症状はないですか?」と医師や薬剤師に聞かれたことはありませんか?
一部の薬の副作用で「手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む」、「手足がしびれる」、「手足に力がはいらない」、「こわばる」、「全身がだるい」、「尿の色が赤褐色(コーラ色)になる」などの症状が出る場合があります。これらの症状がある場合、横紋筋融解症と言って、筋肉が融けて、筋肉の成分が血液中に流れ出してしまう副作用の可能性があります。横紋筋融解症になった場合、血液中に流れ出した大量の筋肉の成分(ミオグロビン)により、腎臓がダメージを受けて、急性腎不全を引き起こすことがあります。また、まれに呼吸筋が障害され、呼吸困難になる場合があります。さらに、横紋筋融解症は多臓器不全などを起こして生命に危険が及んだり、回復しても重篤な障害を残したりする可能性のある危険な副作用です。
横紋筋融解症の原因には、薬の副作用だけではなく、事故や負傷、過度な運動、脱水、熱中症などがあります。昔から言われている「行軍症候群」というのも、これの一種です。それは、軍隊の訓練や実践などで、極端に体を酷使したあとになることがあることから、このネーミングになったのだと言われています。
また、スポーツ選手がハードなトレーニングをした後に発症することもあります。昔から、根性論で「血のおしっこを流すまで、がんばれ。」などという言い回しがありますが、もしかすると、この横紋筋融解症が起こり、ミオグロビン尿が出ていたのかもしれません。だとすると、かなり危険な状態ということです。
横紋筋融解症が起こる可能性のある主な薬剤は、さまざまな種類の医薬品があげられますが、高脂血症治療薬、抗生物質(ニューキノロン系)などが知られています。
治療方法は、薬の副作用を疑う場合は服用中止、症状や検査値に応じて輸液療法や血液透析などを行います。
薬の副作用で横紋筋融解症になる可能性は個人差もあり、決して誰もが起こるものではありません。しかし、症状が現れた場合には放置せずにすみやかに医師・薬剤師に相談してください。また、医療機関を受診する際には、服用している医薬品の種類、服用からどのくらいたっているのかなどをお知らせてください。夏場の暑い時期は脱水や熱中症などにも十分注意しましょう。
◆ 横紋筋融解症の原因となるお薬の一例
(薬剤名は稜北病院で使用しているお薬)
薬効分類 | 薬剤 | |
高脂血症治療薬 | HMG-CoA還元酵素阻害薬 | アトルバスタチン、プラバスタチンなど |
フィブラート系薬剤 | ベザトールなど | |
抗生物質 | ニューキノロン系 | クラビットなど |
マクロライド系 | クラリスロマイシン | |
神経系に作用 | デパス、リスパダールなど | |
解熱消炎鎮痛薬 | ボナフェック坐薬、ボルタレンなど | |
痛風治療薬 | アロプリノールなど | |
気管支拡張剤 | テオドールなど |
上記記載以外に消化性潰瘍治療剤、総合感冒薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などにも副作用として起こる場合があります。
投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2014年8月1日