健康あらかると 筋力や心身の活動が低下した状態 フレイル

函館陵北病院副院長 佐々木 悟

 昨年5月、日本老年医学会はフレイルと言う言葉を発表しました。年齢を重ねて要介護状態になる前の状態を指す新語です。

 健康にかかわるカタカナ文字には、メタボやロコモ(運動能力の低下)があります。世の中にメタボと言うことばが登場したとき、メタボってなに?という健康記事をたくさん目にする機会が増えました。フレイルの段階で寝たきりになるのを予防しようという活動を引き起こそうというねらいが、この新しい言葉に込められています。これから様々な機会に、目にする言葉となるでしょう。

 フレイルは、フレイルティー(虚弱)という言葉を日本人に親しみやすいフレーズに置き換えて考案されました。フレイルは、表1の5つの項目の内、3つ以上が当てはまると疑わしいといわれています。

(表1)
1 体重減少
2 疲れやすい
3 筋力の低下
4 歩くのが遅くなった
5 活動の低下

 自然の老化より一歩すすんで、この状態を放置すると要介護につながる状態をいいます。体力や筋力が低下すると、日常の買い物にでるのもおっくうになりますよね。その結果、人と接する機会が減ったり、食生活のバランスを欠いたものになる。ますます、体も衰え、判断力や認知機能などの頭の働きが低下するという悪循環がおこる。これがフレイルと言う状態です。

 予防は、以下の内容と言われています。

  • 1.タンパク質、ビタミン、ミネラルを含む食事を心がける。
  • 2.ストレッチ、ウォーキングなどの運動をする。
  • 3.身体活動量や認知機能を定期的にチェックする。
  • 4.できる感染予防をする。
  • 5.手術の後は栄養をとり、リハビリをしっかりとする。
  • 6.薬の種類が多い人は、主治医と相談をして薬を減らす。

 メタボを気にされて、過剰なダイエットで必要なタンパク質が摂れていない方もいます。タンパク質を含む食事を心がけてくださいということです。フレイルを予防するには、適度な運動も必要です。筋トレまでは不要ですが、椅子や机につかまりながらのスクワットが、安全ですすめられています。具体的には、身体活動量のチェックや、認知機能のチェックも含め、いろいろな機会に健康教室やサークルに参加していくことがコツと思います。

 感染予防として、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種や早期の治療がもちろんすすめられています。

 そして、このコラムの締めくくりとして、日本の高齢者の健康問題として、薬が多いことがあげられている話題に触れます。たくさんの病気をかかえる患者さんが増えていますが、その症状ごとに処方されている薬が、全部で20種類以上にもなる患者さんは、珍しくありません。これらの薬の作用で、身体活動や頭脳の活動が低下している可能性もあると言われているのです。

 主治医と相談して、なんとなく不安で続けている薬を止めることで、スッキリ、元気になったという患者さんも多いのです。ここは私たち医療者側も大いに反省すべきことです。

 今年は、フレイルを克服する活動を本格化させる年にしたいと思います。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2015年4月1日

▲このページの先頭へ

© 医療法人 道南勤労者医療協会