健康あらかると 糖尿病合併症である糖尿病神経障害について

 糖尿病神経障害は、糖尿病発症から数年の潜行期を経て足のしびれ感や疼痛感などの感覚症状で気づかれる末梢神経疾患で、網膜症、腎症と並び高血糖状態が続くことで起こる糖尿病の三大合併症の一つです。

 糖尿病で神経が侵されるパターンにはいろいろなタイプがあります。大きく分けると身体全体に分布している神経がすべて侵される多発神経障害と運動を司る比較的太い神経が一本侵される単神経障害の2つに分けることができます。

合併症の中で頻度の高い多発神経障害

 多発神経障害はさらに下肢の感覚異常をもたらす遠位対称性感覚神経障害、および、心、胃腸管や血管、汗腺などを支配する神経が侵される自律神経障害があります。多発神経障害は糖尿病の罹病期間や血糖コントロールと相関して発症、進展することから、一般に糖尿病性神経障害として代表されています。

 単神経障害は比較的珍しく、外眼筋や躯幹筋、上腕あるいは大腿筋などを支配する運動神経が急に麻痺するもので、原因は血栓や血管炎による神経支配血管の閉塞だといわれています。動眼神経や外転神経の場合、複視、眼痛などが主症状となります。側副路の形成や血栓の再疎通などによって血流が再開すると神経機能が再び回復しますので、自然に軽快する特徴があります。

大半は無症状のまま進展

 多発神経障害は、糖尿病で必発というほど頻度の高いもので細く長い神経の末端から変性、脱落していく特徴があります。したがって、下肢の神経がまず侵されます。大半は無症状のまま進展しますので、症状の出る前に、アキレス腱反射や振動覚検査で積極的に診断する必要があります。この診断法によると、糖尿病患者の3~4割程度に臨床的に明らかな多発神経障害がみつかります。さらにモノフィラメントや爪楊枝、竹串などによる感覚低下を足拇趾などで検証することも重要です。これを感じない場合、進展した神経障害が多く、壊疽、潰瘍のリスクのためフットケアが必要となります。

 進展した例では起立性低血圧や著しい発汗異常などの自律神経症状が出現してきます。起立性低血圧の出現は生命予後の悪化を意味しますのでとくに神経障害の進展を防ぐため十分なケアが必要となります。

広く用いられる神経伝導検査

 多発神経障害の客観的評価には、神経伝導検査が必要です。この検査は、末梢神経に経皮的に電気刺激を与え電気的な興奮を記録することで、神経の伝導速度、振幅、潜時などを測定する検査です。運動神経伝導速度と感覚神経伝導速度およびF波検査に大別され、末梢神経機能を客観的に評価でき、検査結果が数値や波形で得られ、感度がよく再現性の高い検査であるため、神経疾患の診断に広く用いられています。

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2015年7月1日

▲このページの先頭へ

© 医療法人 道南勤労者医療協会