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健康あらかると 糖尿病と薬のはなし
稜北病院薬剤科 高橋 あゆみ
1.糖尿病とは?
「糖尿病」とは、「インスリン」というホルモンの量が不足したり、働きが悪くなることにより、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなりすぎた状態が長く続く病気です。初期の頃は自覚症状がほとんどありませんが、血糖値を高いまま放置すると、徐々に全身の血管や神経が障害され、網膜症や腎症、神経障害、脳梗塞などの合併症を引き起こします。「インスリンの作用不足」を改善し、血糖値を上手にコントロールして、病気の進行を防ぎ、合併症を予防することが大切です。
2.糖尿病にはどんな薬があるの?
糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です。それでも血糖値がうまく下がらない場合は薬を用います。糖尿病の薬にはインスリン注射と飲み薬などいくつかの種類があり、医師が患者さんの状態と薬の特性を照らし合わせて適切な薬を選択します。
過剰な糖を排泄する薬 | インスリンの分泌を促進させる薬 |
SGLT2阻害薬 (スーグラなど) 【注意点】 尿の回数が増えることがありま。尿路感染や性器感染を起こすことがあります。脱水やふらつきが起こることがあります。 |
スルホニルウレア尿素薬(グリメピリドなど) 速効型インスリン分泌促進薬(ナテグリニドなど) DPP4阻害薬(ジャヌビアなど) 【注意点】 低血糖や体重増加を起こすことがあります。 |
食べ物の消化・吸収を遅らせる薬 | インスリンの作用を高める薬 |
αーグルコシダーゼ阻害薬(ボグリボースなど) 【注意点】 おなかが張ったり、おならがでやすくなったり、下痢を起こすことがあります。 |
インスリン抵抗性改善薬(アクトスなど) 【注意点】 むくみ、体重増加が起こることがあります。 ビグアナイド薬(メトグルコなど) 【注意点】 食欲不振や吐き気・下痢などを起こすことがあります。造影剤を使うときは服用を中止してください。アルコールをのむとひどい脱水を起こすことがあります。 |
3.薬物療法の注意点
○食事療法・運動療法が基本です
薬を飲んで調子がよくなっても、基本の食事療法・運動療法はきちんと行うことが大切です。
○低血糖に気を付けましょう
低血糖の兆候や症状があらわれた時は、すみやかにブドウ糖や砂糖をとってください。砂糖や糖質の入った清涼飲料水などを携帯するようにしましょう。α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している場合は、砂糖ではなくブドウ糖を持ち歩いてください。
【 低血糖の主な症状 】
○勝手に薬を中断しない
薬を突然中止すると、血糖コントロールが上手くいかなくなり、合併症の悪化・発症を早めてしまうことがあります。自分が使用している薬の作用や特徴をきちんと理解し、薬の服用または注射を忘れないように気をつけましょう。
投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2015年8月1日