健康あらかると 高齢者の身体機能改善とアミノ酸

リハビリ 中田大輔

 私たちの体の約20%を占めているタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。
 この20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で作ることができず、食事などで摂取しなくてはならないことから、必須アミノ酸とよばれています。

 肉や卵などタンパク質を豊富に含んだ食品を摂取し分解・消化するよりも、既に分解されたアミノ酸そのものを摂取する方が効率が良いため、最近注目されています。
 マラソンやサイクリングなど持久力を求められるアスリートが競技中に摂取することで有酸素運動のパフォーマンスが向上するということで、顆粒状や飲料として一部の専門的なメーカーから製造・販売されてきました。
 マラソンでトップクラスの選手が給水所に設置しているマイドリンクの中身は、個人差はあるもののそのほとんどがこの必須アミノ酸だといわれています。

 最近、この必須アミノ酸が高齢者の身体機能改善にも効果があるのではないかという研究がされているようですので、その一部をご紹介します。

 まず国内では、通所リハビリにおいて要介護高齢者に分岐鎖アミノ酸(必須アミノ酸の代表的なもの)を摂取していただいた後に運動療法を実施したところ、バランス機能が向上した1)という報告があります。

 また、海外では75歳以上の女性155人を対象にした調査で、3gのアミノ酸を1日2回、12週間摂取して運動していただいたところ、摂取しないで運動していただいた方より筋量・筋力ともに改善の幅が大きかった2)という報告もあります(下記グラフ参照)。

グラフ

※グラフはクリックで拡大します

運動との併用がカギ

 アミノ酸はサプリメントや飲料など、最近ではドラッグストアでも販売しています。大手メーカー製の高齢者に最適な配合比率の商品も開発・販売されています。

 もちろん、用法・用量の基準はありますが、薬と違いサプリメントの一種ですので、少し手軽に利用できる点も身近に感じるポイントです。

 ただし、気をつけなくてはならないのは、いずれの報告も運動との併用による結果である、ということです。適度な運動を行うことに加えて摂取することで、運動の効果を更に高めることが期待できる、ということです。

 飲むだけで健康になるような魔法の薬はまだ見つかっていないようです。

参考・引用
1)池田 崇ほか:分岐鎖アミノ酸摂取を併用した通所リハビリテーションが要介護高齢者の筋力とバランス機能に与える影響.理学療法学 第42巻第5号 428~433頁(2015年)
2)味の素株式会社 プレスリリース http://prtimesjp/main/html/rd/p/000000007.000008668.html

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2015年12月1日

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