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サプリメント(栄養補助食品)は関節痛に対して効果があるか?

医師 及能義広

 中高年の方の膝の痛みに対して、傷んでいる軟骨を修復し、痛みがとれることを効能にうたった食品がよく宣伝されています。それらはサプリメントと呼ばれますが「飲んでいて本当に効くのですか」と最近質問される機会が多くなっています。現時点でわかる範囲について説明します。

「健康食品」として使用
 それらの食品はグルコサミン、コンドロイチンで以前からヨーロッパや米国で健康食品として使われています。グルコサミンはカニなどの甲殻類の殻から、またコンドロイチンは牛、豚、鶏などの軟骨から抽出されたものが多く、もともとは人体の軟骨の成分です。どちらも日本および米国では経口の医薬品としては認められてはおらず(注1)、厚生労働省が認めた「特定保健用食品」でもありません。しかしどちらも副作用はほとんどなく(注2)、軟骨を修復し、関節の痛みをやわらげる効能があるという研究が最近多く発表されているのも事実です。

“効き目”の裏付け
 ある薬について本当に効き目があるかどうか確かめる上で、プラセボ効果というのを必ず考慮しなければなりません。プラセボというのは「偽薬」のことで、例えば見かけ上は薬に見えるように作った砂糖の塊を飲むだけで、ある病気が軽くなったり、治ってしまったりということが実際にはよくあります。これは心理的効果のためや、病気が自然治癒する場合が多いことで起こると考えられます。そのため薬の本当の効果を知るためには、患者も医者も誰が本当の薬を飲んでいるか試験が終わるまでわからないという二重盲検法という方法で確かめるのが一般的です。複数の研究で上記のことが確かめられれば、初めてエビデンス(学問的な裏付け)が存在するということができます。

現時点でいえる効果は


     信頼性がある調査として英国医師会が出版しているクリニカルエビデンス(ISSUE9日本語版)という本ではサプリメントについて次のように記載されています。
  1. グルコサミンはプラセボと比較して症状が改善するとの限定的なエビデンスが見つかったものの、出版バイアス(=偏り)(注3)および試験の質が低いことから結果の解釈は困難である。
  2. コンドロイチン ・・・ 症状の改善がプラセボを上回るとの明確なエビデンスは見付からなかった。
  3. グルコサミンとコンドロイチンの併用 ・・・ これに関する信頼できる比較試験は見付からなかった。

 これ以外の研究の結果を見渡すと、サプリメントの使用は軽症で早期の変形性関節症に対して痛みの軽減には有効である可能性があるといえます。しかし傷んでいる軟骨を保護し、修復しているという確かな証拠は現時点でははっきりしていません。また医薬品ではないので品質のチェックが公の機関でなされておらず、市販されている製剤の成分には大きなばらつきがあるという報告もあります。実際の商品選択と使用は、「自己責任でお願いします」という結論になります。

注1)コンドロイチン(正確にはコンドロイチン硫酸ナトリウム)は眼の角膜を保護する点眼薬として、または神経痛に対する注射薬として現在使われています。

注2)グルコサミンは糖の一種であり、摂取による血糖、血圧、血中コレステロールおよび中性脂肪値の上昇などが報告されているので、糖尿病、高脂血症などの患者さんは注意が必要です。また妊娠中・授乳中の安全性についてはデータが十分でないことから使用を避けるべきです。

注3)出版元が都合のいいデータのみ集め宣伝する。

2005年5月 第254号より

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2006年02月16日 |

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