« いさりび 2006年10月 第271号より | 【Library TOP】 | 函館診療所開院前後のころ »

鉄欠乏性貧血について

医師 長谷川 昭一

 貧血とは、血液中の赤血球やそれに含まれる血色素(ヘモグロビン)が減少した状態をいいます。俗に言う立ちくらみ様の貧血はいわゆる脳貧血で、別の概念になります。
 ヘモグロビンは、肺で受け取った酸素を全身に運びます。ですから、貧血になると臓器や組織が酸素欠乏を起こすことになります。
 貧血といってもタイプはいろいろです。

最も多いのがヘモグロビンの原料である鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血です。

1)症 状
 動悸、息切れ、立ちくらみ、疲れやすい、全身倦怠感(こわい)など。ゆっくり進行した場合、中等度以上の貧血でもはっきりした症状が出ないこともあります。

2)検査と診断
 血液検査で赤血球、ヘモグロビン、血清鉄、貯蔵鉄などを調べて診断します。

3)原 因
1 鉄需要の増大
・出血―慢性出血(消化管の潰瘍、癌、痔など)、過多月経、子宮筋腫、血尿など
・成長、発育、妊娠、出産、授乳に伴うもの
・血管内溶血、スポーツ貧血など
2 鉄供給不足
・極端な偏食
・胃切除後など
 原因をはっきりさせることが非常に重要です。
 明らかな貧血の場合、胃や大腸の検査をお勧めします。特に高齢者の場合、消化管の悪性腫瘍が原因となっていることがあるので、注意が必要です。貧血を防ぐ意味でも、無理なダイエット、インスタント食品の多食は避けましょう。私自身、鉄欠乏性貧血になったことがありますが、マラソンで強く足の裏を打つことによって赤血球が破壊されることが原因でした。激しいスポーツをする人も、一度チェックをしたほうが良いでしょう。

4)治 療
 原因を解決するようにすると同時に、鉄の補給を行います。原因がうやむやなまま、鉄の補給のみを続けるのは望ましくありません。軽度の貧血の場合、食事療法で経過を見ることもありますが、多くは鉄剤の投与(内服、注射)を行います。重度の貧血で、生命に危険を及ぼす可能性がある際は、輸血が必要になります。
 鉄剤投与に反応が悪い場合は、さらに精査が必要です。

*検診で貧血を指摘された方は、症状がなくとも一度受診されることをお勧めします。

2006年10月 第271号より

投稿者: 道南勤医協 | 登録日: 2006年10月01日 |

▲このページの先頭へ

© 医療法人 道南勤労者医療協会